債権回収の作戦を練る

債権回収の方法」で列挙したように、債権回収の方法は色々あります。単純に内容証明郵便を送れば良いというものではありません。

例えば、話し合いができるのなら、分割払いを提案するなどして、話し合いで解決できる場合もあります。

(例1)
分割払いで合意して、債務弁済契約公正証書を作っておくという方法もあるでしょう。 これは、分割払いで合意し、その代わり、支払いを怠ったら催告を要せずに残額を一括で支払わなければならないとする「期限の利益喪失約款」と、金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨の「強制執行認諾約款」を 加えた公正証書を作っておくというものです。これにより、支払いを怠った場合には、改めて裁判手続きをすることなく強制執行(差押え)ができるようになります。公正証書作成の意義について

(例2)
あるいは、債務者が第三者に債権を持っている場合には、債権譲渡を受けるという方法もあります。これは、例えば、お金を貸した相手が商売をやっていて、第三者に対して売掛金を持っている場合は、貸付金の返済の代わりにその売掛金を譲り渡してもらうというものです。債権譲渡について

(例3)
さらには、売掛金が未払いの場合には、売買契約を準消費貸借契約に切り替えるという方法もあります。 これは、売った代金を貸したことにしてしまうわけですが、なぜこのようなことをするかと言うと、売買代金債権の消滅時効は2年ですが、準消費貸借契約にすれば時効期間を延長できるからです。商行為に該当すれば5年、該当しなければ10年に延長できます。消滅時効について

(例4)
また、家族に事情を説明すれば、家族が代わりに払ってくれる場合(第三者弁済)もあるかもしれません。


ですから、相手の事情に応じた債権回収の方針(作戦)を考えなければいけません。

嘘にハッタリ、時には脅しを交え、金を払わない相手にいかにして払わせるか、金を払う気を起こさせるか。

実は、債権回収というのは、相手との心理的な駆け引きが必要なのです。

以前、ある会社からお金を払ってもらえないという苦情が多数発生し、倒産するのではないかという噂が流れたことがあります。 その際、多くの人が内容証明郵便等で請求しましたが、お金の支払いを受けられませんでした。そんな中、ある人が、嘘八百を並べ立てた内容証明郵便を送り、無事に返金を達成したという報告をもらったことがあります。 なんでも、知り合いのマスコミがこの話題に興味を示し、現在取材を受けているとか、労働組合幹部と協議中だとか、私も参考に読ませてもらったのですが、実に傑作でした。行政書士に頼んで普通に「金払え!」って請求書を送っても恐らく無理だったと思いますから、本当に感心したことを覚えています。

債権回収とは、相手の弱みに付け込み、金を払う気を起こさせれば良いのであり、それに成功すれば、そもそも裁判をする必要も内容証明郵便を送る必要もないのです。そういう意味では、「相手は何をされると嫌だと思うのか、何が困るのか。」相手の弱点を見つけることが、債権回収の極意なのかもしれません。



ところで、私の場合は、話し合いができない以上、債権回収をするには直接取りに行くか裁判手続きしかありません。

ここで、一般的には、まずは普通の郵便で請求書や督促状を送り、次に内容証明郵便を送るというように段階を踏んで行くことが多いと思います。 その点、私も迷いました。しかし、結局、督促状も内容証明郵便も送らず、いきなり裁判手続きに入りました。

はじめての内容証明」で説明したように、内容証明郵便は、裁判の前に証拠作りのために送るか、裁判の前に最後通告として送るものです。

ですから、裁判の前に、まずは内容証明で! ということにはなるのですが、私の場合は証拠もそろっていましたし、 わざわざ内容証明郵便を送らなくても、いきなり裁判をやった方が早いと思ったのです。それに、後述しますが、裁判の前に相手の預金口座を差し押さえる方針でいましたので、内容証明郵便を送って「金を払わないと裁判をやるぞ!」なんて脅しをかけずに、 相手に悟られないまま秘密裏に裁判手続きを進めた方が良いと考えたのです。

しかし、相手に金を払う気を起こさせるという心理的な駆け引きという点では、全くの落第でした。電話をかけてもメールを送っても応答がありませんでしたが、 何度も電話をかけていたら、しまいには着信拒否されてしまいました。もしかしたら、相手は逆切れして、支払いを拒否する態度を強くしてしまったのかもしれません。

私も頭に来て裁判手続きを決意したものの、たった17,000円のために裁判を起こすのかと思うと気が重くなりますし、それじゃあ直接取りに行こうかという気持ちになります。 実際、17,000円の債権回収のためにお金と時間と労力をかけるのなら、1日か2日つぶしてでも直接取りに行った方が早いし簡単に決まっています。

それに、裁判手続きをしたからといって債権回収ができる保証はありませんし、Googleのストリートビューの自宅マンションの写真でも添付して、 「直接自宅に取りに行きます」と脅しのメールでも送ればお金を払ってくれるのではないか、そっちの方が確実ではないかと考えました。

しかし、結局、行政書士である自分の立場を考えると、まずは裁判手続きで行ってみようということになったのです。 まずは裁判手続きをして、それでだめだったら直接取りに行くという流れに決めました。


 裁判手続きの限界







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