仮差押の申立て方法 2 / 必要書類・作成方法

保全命令(仮差押)の申立ては、書面で行います。

仮差押えの申立てにあたっては、@「被保全権利」(債権)の存在とA「保全の必要性」を疎明する必要があり(民事保全法第13条)、また、仮差押えする財産(不動産、動産、債権)を特定する必要があります。ただし、動産の場合は、目的物を特定できない場合でも申し立てることができます。(動産の場合は現地に行ってみなければわからない点もあるから。)

そこで、これらのことを申立書に記載しますが、このことは民事保全規則に決まりがありますので、それに従って作成することになります。

なお、保全命令(仮差押)の申立ては、素人にはなかなか大変ですし、迅速さも求められますので、費用はかかりますが弁護士や司法書士の活用も検討してみると良いと思います。(【注意】 行政書士は裁判所提出書類の作成や裁判手続きの代理はできません。)


必要書類・費用

仮差押えの申立て書類は、不動産、動産、債権とで異なりますが、例えば、債権の仮差押えの場合は次のようになります。



債権仮差押命令申立事件の必要書類等(神 行政書士事務所作成)

1. 申立書(債権仮差押命令申立書) 被保全権利と保全の必要性を疎明する。特に、保全の必要性(裁判の判決を待たずに仮差押えする理由)の疎明が重要になる。
※下記の別紙目録を作成するのが一般的
(1)当事者目録 債権者、債務者、第三債務者
(2)請求債権目録 債権者が債務者に有する債権(元金・(利息・遅延損害金)等)
(3)仮差押債権目録 仮差押の目的物となる債権(債務者が第三債務者に有する債権)
2. 疎明資料(甲号証) 疎明資料には、甲1、甲2・・・と番号を付す。
(1)契約書、内容証明郵便等の写し
(2)債務者の不動産登記事項証明書 申立てた仮差押債権以外に仮差押えすべき財産がない(不動産がない)ことの疎明に必要となる場合がある。(※判決が確定していない段階で債務者の給料や預金を仮差押えすることは、債務者にとってのダメージが大きいため、裁判所も慎重な扱いとなり、不動産を仮差押えの目的物とするよう指導を受ける場合がある。)
(3)報告書または陳述書 必須の書類ではないが、報告書や陳述書を添付することが一般的。申立書に記載した事柄だけでなく、より具体的な体験事実を詳しく述べることによって、裁判官を納得させるもの。
3. 当事者、第三債務者の資格証明書 ・法人の場合は、商業・法人登記事項証明書。
・個人の場合は、疎明資料と現住所が異なる等で住民票が必要になる場合がある。
・第三債務者が銀行の場合は、送達先の支店名・住所がわかる当該銀行のホームページのコピー等を提出する場合もある。
4. 第三債務者に対する陳述催告の申立書 仮差押債権の存否や金額を第三債務者に陳述させる手続き
5. 申立手数料(収入印紙) 原則1件につき2,000円(当事者が複数の場合、手数料が変わります。)
※申立書の右上に貼付する。ただし、割印をしてはいけない。
6. 郵券(郵便切手) 1,082円×債務者数 + (1,130円+280円(速達)+512円+82円)×第三債務者数
(例)債務者1、第三債務者1の場合・・・3,086円
※裁判所から指定された金額ごとの切手の組み合わせに従い提出する。


参考
部数: 仮差押の申立書と陳述催告の申立書は各1部で良いが、各目録は複数部必要になる。筆者の仮差押えの申立ての場合、裁判所が内部的に使用する分として3部必要であったため、当事者目録は全部で5部(陳述催告の申立書でも1部使用のため)、請求債権目録と仮差押債権目録は各4部必要でした。なお、各目録は申立後も他の手続きで必要になる場合があるので、コピーを残すかパソコンで印刷できるよう書式を保存しておく。また、申立書も含めて自分用の控えを作成しておくことが望ましい。
郵便代: 手紙の基本料金(92円〜140円)+一般書留(430円)+特別送達(560円)=1,082円〜1,130円



作成上の注意点

@書式はA4判の用紙で、縦置きの横書きで作成します。左綴じにするため、左側に3cm程の余白を設けます。(平成13年より裁判文書はA4判の横書き、左とじとなっています。)

(裁判所のホームページによれば、文字の大きさ(フォントサイズ)は12ポイント(表題は14ポイント以上)で作成し、1行37字×1頁26行、余白は上端が35mm、下端30mm、左端30mm、右端20mmの形が一般的なようです。)

A書面が複数枚になるときは、左端をホッチキスなどで留めます(左綴じ)。また、このように複数のページにまたがるときは、それが一体のものであることを示すため、割印を押すというのが契約書式の実務であり、裁判文書においても申立書の記載例を見ますと、申立書と各目録の綴じ目に割印(契印)を押すようにと書かれています。ただ、割印の代わりに丁数(ページの表示)を記載する方法が認められているケースもあるようです。東京簡易裁判所が提供する仮差押えの書式の記載例では、 割印ではなく、各ページの下部余白にページ数を付すようにと書かれています。筆者の仮差押えの場合も、小田原簡易裁判所ではページ数の記載でした。
(一緒に綴じるのは、申立書と各目録です。疎明資料(甲号証)や資格証明書は、申立書と一緒には綴じません。また、債権仮差押命令申立書と第三債務者に対する陳述催告の申立書も、それぞれ別の書類ですから一緒には綴じません。)

B申立書の氏名の隣に押印します。また、申立書と各目録のページの上部余白に捨印を押します。もし、訂正箇所がある場合は訂正印を押します。(訂正は二重線で消して、その場所に押印する。訂正後の記載は、訂正箇所の上の行に書く。)
(印鑑は実印である必要はなく、認印で構いません。ただし、仮差押の申立て後においても、裁判所に提出する書類には、全ての手続きを通じて、申立書に使用したものと同一の印鑑を使用します。)

C民事裁判では、原告が提出した証拠の書類(書証)を甲号証、被告が提出した書証を乙号証と言います。(刑事裁判では意味が違います。) そして、原告(甲号証)が赤、被告(乙号証)が青という色分けがされることが多いようです。 仮差押の申立てにおいても、疎明資料として甲号証を提出しますが、申立書で述べた主張の順番に沿って、その証拠の書面の右肩に、甲第1号証、甲第2号証、甲第2号証の1・・・(または甲1、甲2、甲2の1・・・)のように一連番号をふって行きます。この際は、やはり赤書きすることが多いようです。(赤いボールペンや赤いスタンプ) 筆者の場合も、小田原簡易裁判所では赤い字の記載でした。

D仮差押の申立て書類は、裁判所に備え付けの定型の複写式の用紙ではありませんので、自分用の控えがありません。また、裁判所から控えの交付もありません。そこで、裁判所に提出する書類以外に、自分用の控えも作成しておきます。


申立書の書き方

保全命令(仮差押え)の申立てについて詳しくは、裁判所のホームページに解説や書式、書き方の記載例がありますので、具体的な書き方については、そちらを参考にしていただくか、関連書籍をご覧ください。または、弁護士・司法書士へ手続きの代理についてお問い合わせください。

東京簡易裁判所での民事保全手続について

東京地方裁判所・東京簡裁以外の都内簡易裁判所での民事保全事件について
  (こちらの書式は、「2. 保全事件の申立て」内)



筆者の場合、差押えの目的物は預金口座ですから、債権の仮差押えとなりますが、実際に提出した書類は次の通りです。

1.債権仮差押命令申立書 (当事者目録、請求債権目録、仮差押債権目録)
2.疎明資料 請求書のメールのコピー等 (甲1〜甲3)
報告書 (甲4)
※債務者の不動産登記事項証明書はありません。
3.資格証明書 第三債務者(銀行)の現在事項一部証明書
※債権者(私)と債務者の住民票はありません。
4.第三債務者に対する陳述催告の申立書 (当事者目録)
【費用】 ※平成23年6月時の金額
申立手数料 2,000円
郵券 3,000円 (1,050円,1,370円,500円,80円の組み合わせ) ※但し、後日180円分返却
商業登記簿謄抄本(現在事項一部証明書) 700円


 筆者の債権仮差押命令申立書(実例)







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 《筆者が実際に提出した書類のサンプル》

債権仮差押命令申立書
当事者目録、請求債権目録、仮差押債権目録 / 預金の仮差押債権目録(未使用)
疎明資料(報告書)
資格証明書(現在事項一部証明書)
第三債務者に対する陳述催告の申立書

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