債権の消滅時効と時効中断の方法

消滅時効とは

債権(例えば、貸したお金を返せという権利)は、一定の期間を経過すると時効にかかって消滅します。(借金等には時効があります。) 時効になったら貸したお金は一円も返って来なくなってしまいます。

これは、「請求できるのに何もしないで放っておくような、権利の上に眠る者は保護しない」という法律上の制度で、消滅時効と言います。ただし、権利を行使すれば、時効の進行をストップさせる(時効を中断させる)ことができます。 時効期間が近づいてきたら、時効の中断をして債権が消滅するのを防ぐ必要があります。



時効の援用

なお、時効というのは、時効の利益を受ける者(債務者)が、時効であることを主張する(時効を援用する)ことによって成立するものです。ですから、時効期間が過ぎたからといって債権が消滅するわけではありません。 時効期間が過ぎた後でも債務者に請求することはできますし、裁判や支払督促を行うこともできます。ただし、その際に債務者が時効を援用すれば、債権は消滅します。

債務者が時効の援用をせず、任意に支払うことは構いませんし、 時効期間が経過後に債務者が債務を承認した場合は、時効の完成を知らなかったとしても、もはや時効の援用はできなくなります。


【参考】 消滅時効を援用する通知書の文例


主な債権の消滅時効 〜代金・借金等の時効一覧〜(神 行政書士事務所作成)
6ヶ月
小切手債権 小切手所持人の債務者(振出人・裏書人・その他)に対する遡求権、債務者の再遡求権
1年
・労力者、芸人の債権
・運送賃
・旅館、料理店、飲食店、貸席、娯楽場の債権
・短期間の動産の賃貸料
・手形の遡求権
・大工、植木職人、俳優、プロ野球選手の賃金など
・ホテル、飲食店、映画館、野球場などの料金
・レンタカー、レンタルビデオなどの料金
・約束手形の所持人から裏書人に対する請求権
2年
・弁護士、公証人の債権(司法書士、税理士等は該当せず)
・生産者、卸売商人、小売商人の代金債権
・居職人、個人規模の製造人の債権
・学芸、技能の教育に関する債権
・給料債権
商品の売掛金など
・理容師、鍛冶屋、建具屋、菓子屋などの代金債権
・学校、塾、教師の授業料債権など
給料、賞与(ただし、労働基準法の「労働者」に該当しない場合は1年。また、退職金は5年)
3年
・医師、助産師、薬剤師の債権(歯科医師・獣医師を含む。看護師・歯科衛生士等は該当せず。市販薬の販売は該当せず)
・工事業者の債権
・不法行為に基づく損害賠償請求権
・製造物責任法による損害賠償請求権
・手形債権
・土木建築工事の請負代金、自動車修理代金など
・交通事故等の損害賠償請求慰謝料など
・約束手形の振出人、為替手形の引受人に対する請求権
5年
・商事債権
・定期給付債権
・商行為により生じた債権、企業間の商取引、会社が行う貸付(借金)、クレジット債権など
家賃、地代、NHK受信料など


※ 医師・弁護士等は商行為に該当せず
10年
・民事債権
・確定判決等
個人間の売買貸付(借金)など
・確定判決、裁判上の和解、調停など
(この一覧表は代表例です。この表が全てではありません。)
※ どの時効期間に該当するのか解釈上の争いがあるケースや裁判例で認められているケースがあります。


一つの債権が複数の時効期間に該当する場合、時効を援用しようとする者は、どの時効期間が満了したことを主張しても構いません。

なお、時効というのは、時効の利益を享受する者が主張できる権利ですから、通常は期間の短い時効期間を主張するはずであり、それがその債権の時効期間となります。 ただし、確定判決等によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年になります。


【参考】
時効期間が過ぎた後に支払督促等を行い、債務者が異議を申し立てず(時効の援用をせず)権利が確定した場合は、時効期間は10年に伸長されます。 ただし、時効の利益の放棄は、時効の完成を知って行う必要があり、時効の完成を知らなかった場合は、その後においても時効の援用をできる余地があります。 (時効期間が過ぎた後に債務者が債務を承認した場合は、時効の完成を知らなかったとしても、その後において時効の援用ができなくなることは前述の通りです。)




時効中断の方法(神 行政書士事務所作成)
請求
裁判上の請求

@ 支払督促の申立て
A 訴訟の提起
B 民事調停の申立て
C 即決和解の申立て
D 任意出頭による訴え
E 破産手続き参加
F 更正手続き参加
G 再生手続き参加

裁判外の請求(催告)(中断の効力は6ヶ月のみ)

@ 内容証明郵便
差押え・仮差押え・仮処分
承認
@ 債務承諾書(支払約束書)
A 一部弁済
B 支払猶予の申入れ
C その他


時効を中断させる方法は、@請求(裁判上の請求、裁判外の請求)、A差押え・仮差押え・仮処分、B債務者の承認、の3つがあります。

なお、裁判外の請求(一般的には内容証明郵便による請求)は、時効の完成を6ヶ月遅らせる効果しかありません。 (詳しくは、「裁判外の請求(催告)による時効の中断」をご覧ください。)

つまり、上記の表をご覧になってもわかる通り、時効を中断させるためには、債務者が一部でも支払ってくれたり、支払約束書にサインをもらうなど、債務者に債務の存在を承認させることによって時効を中断させるか、または、裁判手続きをするしかないということになります。


【参考】
@裁判上の請求、差押え・仮差押え・仮処分においては、その取下げ、取消しがあった場合は、時効は中断しなかったことになります。
A裁判上の請求により時効が中断した後、確定判決等によって権利が確定した場合は、その時効期間は10年に伸長されますが、その10年の時効期間は、その後に差押え(強制執行)や一部弁済等の債務の承認があれば、他の場合と同様に時効は中断します。その場合の次の時効期間は、争いがありますが10年と考えられます。



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